
ぎっくり腰(急性腰痛症)は、ドイツ語で「魔女の一撃」とも呼ばれるほど、突然の激しい腰の痛みを特徴とします。この症状は、腰周りの筋肉の慢性的な疲労が蓄積した結果、突然の動作によって筋肉や筋膜の痙攣、捻挫、癒着などが引き起こされることによって発生します。痛みの種類は原因となる部位によって異なり、側弯や脱力感などの症状も伴うことがあります。一般的には筋・筋膜性の原因が多いですが、椎間板や椎間関節、尿路結石、血管性の問題、骨折なども原因となることがあるため、早期に専門家に相談することが重要です。
ぎっくり腰の原因
筋肉の疲労:
長時間の座り仕事や運動不足、同じ動作の繰り返しによって筋肉や筋膜が硬くなり、可動域が制限され、筋力が低下します。睡眠不足や栄養バランスの悪い食事も筋肉の回復を妨げ、疲労を蓄積させる要因となります。また、精神的なストレスも筋疲労の原因となります。
中腰の姿勢
中腰の姿勢で行う動作は椎間板に圧がかかりやすく、真っ直ぐに立っている時と比べて、立位の中腰では1.5倍、座位の中腰では1.75倍の圧がかかるとされています。
急激な負荷
重い物を持ち上げたり、無理な体勢から急に腰をひねったりすることで筋損傷が起こり、筋筋膜性腰痛を引き起こします。
加齢
加齢に伴い筋肉や靭帯が弱くなり、姿勢や動作が崩れることで腰痛のリスクが高まります。特に中高年層では、腰椎や椎間板の変性により筋バランスが崩れ、慢性的な腰痛につながることがあります。
体型の変化
妊娠や肥満などは腰椎の過前弯(反り腰)を引き起こし、猫背や円背は腰椎の後湾を招くことが多いです。
予防と対策
ぎっくり腰の原因は生活習慣に起因するため、しっかりと予防策を講じることが重要です。
定期的な運動:
筋肉を強化し、柔軟性を保つために、定期的な運動やストレッチを行うことが重要です。特に、腰や股関節周りのストレッチが効果的です。
正しい姿勢の維持:
日常生活での姿勢を見直し、正しい姿勢を保つことがぎっくり腰の予防につながります。特にデスクワークをする際は、椅子や机の高さを調整し、適切な姿勢を心がけるとともに、定期的に立ち上がったり、ムービングディスクなどを使用して動き続けることを心がけましょう。
適切な休息と栄養:
睡眠不足や栄養不足は筋肉の疲労回復を妨げるため、十分な休息とバランスの取れた食事を心がけることが大切です。特に、カルシウム、ビタミンD、タンパク質、マグネシウム、ビタミンB群、抗酸化物質などをバランスよく摂取しましょう。
ぎっくり腰の原因を理解し、適切な予防策を講じることでリスクを減らすことが可能です。再発を繰り返さないよう、生活を見直しましょう。
原因となる筋肉たち
ぎっくり腰の原因となる筋肉は多岐にわたりますが、特に以下の筋肉が関与しており、それぞれ異なる症状を引き起こします。
1. 腰方形筋
- 腰方形筋は脇腹の奥に位置し、腰椎の両側にある深層筋です。この筋肉は体を側屈させたり、後屈させたりする際に重要な役割を果たします。
- 腰を側屈したりひねったときに、腰の横側に痛みを感じることが多い。
- 痛みは強いのですが、比較的治りやすい筋肉です。
2. 多裂筋
- 多裂筋は脊柱の深部に位置し、脊椎を安定させる役割を持っています。
- 腰の中央部に痛みを感じることが多く、特に前かがみの動作や立ち上がるときに痛みが増すことがあります。
- 仰向けで寝ると痛みが強くなります。
3. 腸腰筋
- 腸腰筋は、腰椎から股関節にかけて位置する筋肉で、体幹と下肢を結ぶ重要な筋肉です。この筋肉が緊張すると、腰椎が前方に引っ張られ、過前弯や側湾が起こります。
- 腰を伸ばすことができず、股関節も曲げたままの姿勢になることが多い。
- 腰の痛みが強く、立ち上がるときや歩行時に痛みを感じることがある。
4. 大臀筋
- 大臀筋はお尻の大きな筋肉で、体を支える役割を果たします。
- 立ち上がる動作や前かがみの時に痛みを感じることが多い。
- 仰向けで寝ていて痛みを感じる事が多い
5. 最長筋と腸肋筋
- これらの筋肉は脊柱を支える役割を持ち、腰を反らせたり、側屈させたりする働きがあります。
- 腰を反ったときに表面に痛みを感じることが多い。
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