先日来院した女子学生Bさん(仮名)。
数ヶ月前から、授業で椅子に座っていると右の足からお尻が痺れて来るそうです。
最初は、ふくらはぎの違和感でしたが、だんだん上に上がって来てお尻や太ももの痺れが…
今では、90分の授業が続けて受けるのが非常に困難で困っているそうです。
「坐骨神経痛」と言われ、湿布などで対処していたそうです。
腰椎や股関節の徒手検査では特に異常がなく、神経反射や筋力なども問題なし。
ただ、胸椎10番から腰椎にかけて、左側凸の側湾がみられました。
股関節の内旋制限と腸骨稜部の緊張も。
「授業の時と同じように座ってみてくれる?」
案の定、右側に荷重がかかっています。
腰も後湾(後ろに曲がっている)しています。
右肘で頬杖をついたり、左足を組んで座ったりもよくするそうです。
女性の坐骨神経痛に多いパターンです。
神経が圧迫を受けると、同時に神経に栄養を送っている血管が圧迫され、神経に栄養を送ることができなくなります。
一時的に栄養が途絶えた神経は電気的な異常興奮を起こし、痺れや痛みが発生するのです。
坐骨神経は、腰椎から、お尻の筋肉の間を通り、太ももからスネ&ふくらはぎへと伸びていきます。
このどこかで圧迫などを受け、神経血流が悪くなると坐骨神経の走行に沿って痛みがでます。
特にBさんのように細型で筋肉量が少ない女性は、長時間の不良姿勢で椅子に座っていると、太ももの裏あたりの神経・血管が圧迫を受け易く、今回のような痺れを起こしていたのだと推測しました。
※上図の青丸が坐骨神経に伴走している動脈(ネッター解剖学アトラスより)
触診をすると、不良姿勢に加えて、度重なる圧迫と痛みからの防御反応もあり、股関節、腹部、下肢のあちこちに圧痛点や筋の硬結がありました。
鍼治療やグラストンテクニック(筋膜リリース)での組織の正常化の治療を行い、いちばん大事な生活習慣の指導にしっかりと時間を取りました。
- 基本的な座り方や立ち方の指導
- 自身の重心位置、骨盤の位置を意識する生活
- 腹圧のかけ方や、上半身の安定の方法
- 目線や顎からの姿勢の影響
- 太ももへの圧迫を防ぐための椅子と骨盤の関係
- 座っている時の足の踏ん張り方や股関節の角度
- ストレッチ・筋機能トレーニング
- 長時間座っている時に足首や股関節の適期的な運動
- などなど
2回め来院された時には授業中での痛み、痺れはほぼ無くなったと喜んでいました。
下肢への痛みや痺れというと、椎間板ヘルニアや背骨の病気と思いがちですが、意外とこんな単純な原因もあります。
安易な自己判断は危険ですが、お子さんや家族が体の痛みを訴えてきたときには、まずは普段の姿勢や日常動作をしっかりと観察してみてください。
その上で専門の医療機関に相談すると、原因の発見や、早期の治癒に繋がることでしょう。
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