直接灸と間接灸
昔から日本の家庭にはお灸があり、健康維持に、病気の治療に用いられてきました。
お灸には様々な種類があり、せんねん灸のような直接肌を焼かずに温熱だけを伝えるお灸を「間接灸」。ヨモギを乾燥させたモグサを捻り、肌に直接乗せるお灸を「直接灸」と言います。
直接灸の火力調整は難しく、火傷も起こるため敬遠されがちで、今ではお灸と言えば「間接灸」が主流です。
年配の方の背中を見ると、丸い火傷の後(灸痕)が多く見られます。
なぜ昔の人たちは火傷を作ってまでお灸の習慣を千何百年も続けてきたのでしょうか?
お灸をすると、温熱効果による血流改善、疼痛緩和、自律神経の安定などがありますが、直接灸による微小な肌への火傷が免疫と深い関わりがある事が分かっています。
直接灸によるカラダの変化
直接灸をすると免疫力と関係の強いリンパ球数が上がり、好中球も一時的に上がる事が分かっています。
皮膚をお灸で焼く事により、皮下のタンパク質変性が起こります。
変性したタンパク質は免疫抗体を作るランゲルハンス細胞やマクロファージに吸収され、免疫抗体が全身にばら撒かれることにより、様々な感染症や初期の癌などへの抵抗力が高まるのです。
moxafrica(モグサアフリカ)という非営利団体があります。
お灸の免疫力向上に与える影響に注目し、医療サービスの届きにくいアフリカ地域で、結核やエイズといった免疫力の低下により重篤な症状に陥る感染症に対し、お灸での治療を模索している団体です。
非常に良い結果が出ており、今後の貧困地域での医療を大きく変える可能性のある研究が続けられています。
モグサアフリカ~お灸は世界を変える~
モグサアフリカ(Moxafrica)は、2008年、2人の鍼灸師によって設立されたイギリスのチャリティー団体です。
日本初のお灸博士・原田免太郎(はらだしめたろう)医師の「お灸が与える免疫系への影響の研究」を基に、アフリカでのプロジェクトを開始しました。
ウガンダ・南アフリカなどでパイロットスタディーを行った結果、お灸をしていた患者は、薬の副作用である関節痛と疲労が非常に軽く、結核の治療もより早く回復した事がわかりました。
興味のある方はモグサアフリカのホームページをご覧ください。
このように、風邪や食中毒といった日常的な感染症から、結核や癌などの重篤な疾患まで、家庭でできる病気の予防、免疫力の向上にお灸を利用してみてはいかがですか?
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