エコー下鍼治療とは、超音波エコーを用いて筋肉や筋膜の状態を観察しながら鍼を刺していく鍼灸治療方法です。従来の鍼灸治療では、施術者の経験と感覚のみで鍼を刺入する深さや位置、刺激量を調節していましたが、エコー下鍼治療では、より正確かつ安全に鍼施術を行うことができます。
ファシアへの鍼治療
ファシアとは、筋肉、骨、内臓、血管、神経など体のあらゆる組織を包み込んでいる膜の総称です。痛みや異常感覚、動きの悪さなどの原因となることが多く、臨床上は特に重要視して施術を行っています。エコーで観察をすると、白い塊(ファシアの重積)として観察できることが多く、上手く刺鍼ができると即時効果が得られます。
神経への鍼治療
坐骨神経や腕神経叢などに関連する筋やファシアに刺鍼し、症状を抑えます。また、自律神経症状に関連する頸部の交感神経幹(星状神経節、上頚神経節)や三叉神経などを狙って鍼をすることもあります。
血管への鍼治療
血管への刺鍼はしませんが、手足の痺れや冷えなど、血管を圧迫する筋群や組織を緩める目的で刺鍼をします。また、ドップラー機能を使って、血管を確認することで、動脈を避けて、安全に深部の組織への刺鍼も可能です。
靭帯への鍼治療
捻挫や変形性関節症など靭帯の損傷や変性をエコーで確認をして刺鍼をします。炎症後の癒着や修復への治癒機能を高める目的で刺鍼をします。
怪我への鍼治療
肉離れや手術跡の瘢痕組織は痛みや可動域制限の大きな原因となります。瘢痕部位を正確に刺鍼することで、大きな効果が得られます。
はじめの一歩通信vol.66〜エコー下鍼治療〜
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