はじめの一歩通信

はじめの一歩通信vol.35~「はり」による筋膜への影響~

「はり」をすることで起こる体の変化~筋膜への影響~

最近テレビや新聞などで、鍼灸が取り上げられる機会が増えました。

大昔から伝承されている医療技術ですが、「なぜ効果があるのか?」といった部分がはっきりとしないため、科学が発達した現代では「効果がよくわからないので積極的にはおすすめしないけど、興味のある人はどうぞ」といった位置づけにあったと思います。

しかし、多くの関係者の臨床報告や、基礎実験などを通して、多くのことが解明されつつあります。今回は、筋膜への影響に絞ってまとめてみたいと思います。

筋膜とは?

筋膜とは、筋肉を包む薄い膜のことです。

体全体に張り巡らされ筋肉を表面だけでなく、深層まで立体的に包んでいて第2の骨格とも呼ばれています。

例えるならば、みかんの薄皮のようなものでしょうか?

筋肉(果肉)を筋膜(みかんの薄皮)が包むことで、他の筋肉との仕切りや働きの独自性を保っています。

筋肉の断面図です。
皮膚や脂肪組織(みかんの外皮、筋外膜)の中に、筋周膜(薄皮)に仕切られた筋繊維(みかんの房)があり、筋内膜に仕切られた筋鞘、筋原繊維(みかんのつぶつぶ)があります)

筋膜は薄くて柔らかい組織なので、癒着(くっついたり絡まる)したり縮んでしわが寄ったりしやすく、痛みの原因にもなります。

また、腕と胸の筋膜が引っぱりあい、円背になるように、悪い姿勢や動作を引き起こすこともあります。

鍼と筋膜

 「筋膜リリース」といった言葉、一度は聞かれた事があるのではないでしょうか?

様々な筋膜への治療方法がありますが、鍼も強力な筋膜への治療効果があります。

鍼先を癒着部分に刺すと、癒着部分の周囲の血流が増え、くっついたり、シワが寄っていた筋膜が引き伸ばされ、正常な動きを取り戻します。そして、痛みや動きの悪さが改善されていくのです。

多くの筋膜への治療方法が皮膚の上から間接的にアプローチするのに対して、鍼は問題のある部分まで鍼を入れて、直接治療が行えるので非常に有利な治療方法と言えるでしょう。

癒着がおこった場所に鍼を刺入します。
癒着があり、筋肉同士の滑走が悪くなり、固くなった筋肉も鍼をすると、周囲の血流が増え癒着の解消、筋肉の回復に繋がります。

先日NHKで放送されたテレビ番組でも、筋膜に鍼を届かせて癒着した筋膜が正常な動きになっていく映像が公開されていました。

普段鍼を受けているみなさんも、改めて自分の体で起こっている変化を知り、「鍼ってすごいな~」とコメントを頂きました。

今後もこのような研究がすすみ、「よくわからない鍼灸」がメジャーな医療となるよう、私にできる範囲でお手伝いしていきたいと思います。

ちなみに今回ご紹介した鍼の筋膜への影響は、鍼の効果機序のほんの一部です。

昨年、実家の山で生きた鹿を解剖して、組織を観察する研修会を開きました。

ブログ~鹿の解剖~

鍼によるリリースってどんなのだろう?

この時もいろいろと試してみました。
鍼の手技として、刺入ポイントまで刺して、置鍼や電気鍼などがありますが、これは血流を上げて結果として筋肉が緩むというもの。

捻鍼、雀啄などは、筋膜繊維を絡ませながら緩める直接的な刺激。

強い刺激には、挫刺法もあります。

そして、できるだけ垂直面から刺すのではなく、目的の筋膜に沿って長く刺入したほうが効果は高いのだろうな~などと、まだ生温かい鹿の筋膜に鍼を絡ませながら思いにふけっていました。

筋膜繊維を鍼で絡め取って持ち上げている様子
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