鍼治療による体への影響はさまざまですが、今回は抗ストレス作用に焦点を絞って解説いたします。
はじめの一歩通信vol.36〜はりによる抗ストレス〜
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私たちの「体」と「こころ」は自律神経や多種のホルモンによって調整されて正常な状態が保たれています。
持続的なハードワークや環境の変化、痛みや悩みといったストレスがかかると調整機能が狂いだし、心と体に異常事態が発生し始めます。
うつ状態、不眠、胃腸の不調、身体感覚の異常、過敏性の増大などなど症状は人それぞれですが、ストレスによる不調は、みなさんが思っているよりも多いようです。
鍼をするとどうなるか?
手や足への鍼の刺激は、手足の神経→脊髄→脳という具合に送られていきます。
送られた鍼の刺激は延髄では自律神経(交感神経・副交感神経)の調整、中脳ではオピオイドという麻薬様物質を出させ痛みの緩和、視床下部ではオキシトシンというホルモンを出させストレスホルモンの放出を抑制します。
また、大脳においてはストレスで過活動状態になっている大脳皮質の活動を抑制することで、脳波が安定しリラクゼーションが生じるなど、様々な研究結果が報告されています。
その結果、調整機能が正常に働き出し心と体の健康が回復するのです。
最近では、頭蓋の特定部位に鍼をすることにより、脳血流や自律神経への変化が確認されたり、鍼を刺さないで、皮膚上を優しく刺激するだけでも調整機能への影響があるとの報告もされています。
東洋医学の真髄は「未病治」といわれています。
自覚する症状や病気になる前に、生活習慣の見直しと共に、定期的に調整機能のメンテナンスをすることで、病気にかかりにくく、元気な体が保たれることでしょう。この夏も鍼治療で元気に乗り切りましょう!
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