腰痛といっても訴えは様々です。
今回は、鼠径部の痛みを伴う急性腰痛の症例です。
会社員のBさん(50代男性)から電話がありました。
「昨晩から急に左の腰が痛くなり、一睡もできませんでした」
来院してもらうと、腰をクの字に折り曲げて、歩くのも辛そうです。
痛みの場所は、左の骨盤の上あたりが一番強く、脇腹から鼠径部にかけて痛みが続きます。
整形外科的テスト(腰や足などを動かして痛みの部位を探る)をしても反応が不明瞭です。
どんな動きをしても痛みは変わらず、肋骨や背骨をトントンと叩くと響くような痛みが出ます。
筋骨格系の問題ではなく、内科的な問題が強いかな?
と感じ、痛みの局所はあまり触らないようにして、手足への鍼で様子を見てみました。
痛みは10→7に下がりましたが、まだ大分辛そうです。
「内科に行って検査をして貰ってください」
と伝え、近くの病院を紹介しました。
その日の夜にBさんより電話があり、
「エコーで腰を見て貰ったら、尿路結石があったようです」
と報告を頂きました。
尿路結石とは、腎臓で作られた尿が膀胱に送られる通り道である尿管に石が詰まり、非常に強い痛みを起こす病気です。
痛みの他に、血尿や発熱などがあればすぐに泌尿器科を受診してください。
幸いBさんの結石は5mm程度で自然排石できる大きさだったので、痛み止めを飲みながら、大量の飲水をしていたら翌日には石が出て、痛みもなくなったそうでした。
どんな症状でもはり治療をすると、ある程度痛みや症状は緩和されますが、今回のような内科的な問題や、骨折、ガン、血管病変などを見逃すと、患者さんにとって非常に不利益な結果となります。
当院ではしっかりと検査をして、はり治療の適応範囲であると確証された疾患について治療を行っています。
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