講演・講習

斜膝窩靭帯へのエコーガイド下鍼治療

斜膝窩靭帯へのエコーガイド下鍼治療

当院では、エコーガイド下鍼治療(超音波画像診断装置を使いながら針を刺入する)に力を入れると共に、臨床研究にも積極的に関わっています。この臨床研究は、今年の全日本鍼灸学会で発表させていただいた内容となります。

膝関節伸展制限へのエコー鍼治療―斜膝窩靭帯への鍼治療が有効であった1症例―

【目的】変形性膝関節症において、伸展制限の改善は重要な課題である。伸展制限の要因は様々であるが、斜膝窩靭帯への単刺により効果が得られた1症例について報告する。

【症例】75歳女性。会社経営。主訴は右股関節の歩行時痛と膝関節内側の痛み。

【現病歴】来院6ヶ月前に股関節痛を自覚し、その後、膝の痛みも出現する。整形外科を受診。変形性股関節症,変形性膝関節症と診断される。2ヶ月間の整形外科でのリハビリを経て当院へ来院した。初診時、歩行時の下肢内旋が顕著で, 特に股関節屈曲・外転の可動域制限が著明であった。また、膝関節屈曲・伸展制限も認めた。4ヶ月間、週1回の施術により股関節可動域と、歩行時痛は改善したものの、膝関節可動域制限が残存したため、靭帯組織への施術を検討した。正座は約10年前から困難となっている。

【所見】膝関節屈曲、伸展制限

【評価】斜膝窩靭帯刺鍼実施前評価:屈曲110度、伸展6度。屈曲時に膝関節前面と内側に疼痛。伸展時のエンドフィールが硬く、停止感があった。エコー検査にて、健側と比べて斜膝窩靭帯の高輝度と内側の肥厚を認めた。内外反ストレステスト、ラックマンテスト、ピボットシフトテスト、マクマレーテストはすべて陰性。

【治療・経過】初期治療として、大腿筋群、膝蓋骨周囲軟部組織、ハムストリングス筋群、腓腹筋、膝窩筋等への鍼治療と運動療法を実施。屈曲および伸展角度の改善を認めた。さらなる可動域獲得を目指し、エコー下で斜膝窩靭帯への刺鍼を実施。ステンレス製50mm 0.30mm鍼を使用。膝窩内側、脛骨内側顆と膝窩動脈の間より深度約25mmの斜膝窩靭帯、高輝度部に刺入し、10回程度雀啄を行った。靭帯内に鍼を留置したまま膝伸展操作を加え、抜鍼後の計測で伸展角度は4度まで改善。その後、更なる膝関節可動性獲得を目的としたモビライゼーションを追加し、伸展角度は2度となった。

【考察】斜膝窩靭帯には2つの起始部がある。1つは脛骨後内側顆の後面から由来し、半膜様筋腱の繊維と融合、もう1つは関節包の後内側部分から由来する。これらの起始部は収束して上外側に進み、腓腹筋外側頭の腱と融合して後外側関節包に付着する。膝関節の過伸展と脛骨外旋を制限する。関節可動域獲得における軟部組織要因として、拮抗筋や靭帯関節包などが挙げられるが、本症例では靭帯へのアプローチが特に有効であった。今回は靭帯組織への直刺を選択したが、斜刺や横刺による刺入角度の違い、また半膜様筋腱との境界や脛骨内側顆との境界など、刺入部位の違いによる効果の検討も今後の課題である。

【結語】変形性膝関節症患者の伸展制限に対して、斜膝窩靭帯へのエコー下鍼治療が有効であった1症例を報告した。

【キーワード】膝関節伸展制限、斜膝窩靭帯、超音波画像診断装置、エコー下鍼治療

 

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