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痛みと瞑想
はじめの一歩通信vol.25〜マインドフルネス瞑想法〜
みなさんは「瞑想」の経験はありますか?
言葉だけを聞くと、何やら難しそうな、少し怪しそうな雰囲気を感じるのではないでしょうか?
宗教家やヨガ・武道の実践家、アスリートなどには比較的身近なものですが、最近は医療分野でも注目を集めています。
慢性的なカラダの痛みや不快感も、「好きなことに熱中している時は忘れている」という方は非常に多い様です。
痛みやカラダの不快感はストレスや感情に大きく左右されるからです。
人の脳は、持続的な痛みや不安感が続くと、海馬(記憶や感情のコントロール)の減少や扁桃体(不安・恐怖に反応)の増大が起こります。
つまり、痛みやストレスに敏感になり、感情のコントロールが難しくなり、痛みがストレスを生み、ストレスが痛みを生む「痛みの悪循環」へと陥りやすくなります。
注目される瞑想法「マインドフルネス」
マインドフルネスを直訳すると「心が満たされている状態」で、「今ここ、この瞬間に全身全霊の意識を向ける」考えをベースとした瞑想法です。
世界的に有名な企業(Google、ヤフー、ゴールドマンサックス等)や政府機関、プロスポーツクラブなどで取り入れられており、ストレス軽減、幸福感・満足感の向上、スポーツパフォーマンスの向上、精神的落ち着きや学習能力の向上、高血圧、血糖値の改善などなど、様々な効果があると研究が進んでいます。
科学的な検証も進んでおり、マインドフルネスのプログラムを受けたり、日常に取り入れる事で
- 扁桃体の減少:扁桃体は、不安や恐怖に反応する脳の機能を持っています。慢性的なストレスがかかると、扁桃体は大きくなり、過剰な反応を引き起こします。これが減少するという事は、ストレスや恐怖に対する反応が抑えられる事を意味します。
- 海馬の灰白質の増大:海馬は記憶や感情のコントロールに関わる脳の一部です。ストレスや虚血に非常に弱く破壊されやすい部分です。
- DIPFCの活性化:DIPFCとは、知的活動のまとめ役を担う大脳のいわば司令塔の様な部分です。頭の中が恐怖や痛みに支配されると、本来無いはずの痛みが出てきたり、恐怖に過敏に反応する様になります。DIPFが正常に働く事で、脳の過剰な興奮が抑えられ、鎮痛や安心に繋がります。
- RIPK2遺伝子の活動低下:RIPK2は慢性の炎症に関わる遺伝子です。肥満や癌、慢性痛では、微弱な炎症が続いている状態で、RIPK2の減少は、これらの炎症を抑える可能性があるのです。
日常に取り入れるマインドフルネス
「瞑想」と聞くと、静かな場所に長時間座る座禅を思い浮かべますが、そういった手法と別に、「今ここ、この瞬間に全身全霊の意識を向ける」という意識のもと、「ご飯を味わって食べる」や「鳥のさえずりに耳を傾ける」など、五感をフルに使う時間もマインドフルネスといえます。
日常生活の中に「集中」「感じる」「客観視」の要素が加わる事で、心が整い心が満たされることでしょう。
私たち日本人は歴史的にも、思想的にも、環境的にも瞑想と密接な関わりを持つ民族ですがここでいくつかの方法をご紹介したいと思います。
瞑想法
呼吸の瞑想法
自分の呼吸に「集中」する瞑想法です
- 背筋を正して座ります
- 力を抜いて目を閉じます
- ゆったりと呼吸を行います。腹式・胸式など呼吸の方法にこだわる必要はありません。
- 鼻からの空気の出入りや胸やお腹の動きに集中します。
- 雑念や不快感が出てきても拒絶せず、そっと受け入れまた呼吸へ注意を戻します。
カラダの瞑想法
自分自身のカラダを感じ、その温度や触感、などに「集中」する瞑想法です
目を閉じてカラダの様々な部分を感じてみましょう
- 手のぬくもり
- 腕の産毛の感触
- 胸や腰の肌の質感
- 両手で顔を覆う
- 手足を動かして筋肉の動きや関節の位置を感じる
歩く瞑想法
日常の移動や散歩など、歩いている時に「集中」をします。
動くものが対象ですので、自分の主観が入りやすいのですがあくまで五感で感じるに止めておいて、「判断・評価・感情移入」などをしないように注意してください。
- 歩行時の足裏の感覚
- 天気、雲の動き
- 鳥の声、花の匂い、風の音、土の感覚など自然界を感じる
- 行き交う人の歩行、服装、表情
物の瞑想法
身の回りにある物を観察、感じることに「集中」します。
- 10円玉の質感、匂い、色、傷などを観察
- ご飯を口に含み、味や食感に集中する
- お気に入りの絵や服、ぬいぐるみなどを観察する
疲れていたり、神経が高ぶっている時は集中する事が難しいものです。
ろうそくの炎や星空、海を見たり、好きなお菓子や飲み物をゆっくり味わう、音楽に集中するなど自分にあった方法を見つけてください。
時や場所、方法にこだわる必要はありません。
様々な雑念に負けずに「今」「ここ」「この瞬間」に集中する事が成功の秘訣です。
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