「最近のどの奥から舌にかけてヒリヒリピリピリする、味覚も少しおかしい」
先日来院された50代男性の言葉です。
新型コロナウイルスの症状で、味覚異常などの症状もあるので心配をされていました。発熱などはありません。
病院でも「舌が痛い」と訴えましたが、「異常は見られない」との事でした。
「舌痛症かもしれない」という言葉もありましたが、特に処方などはありませんでした。
舌痛症とは
口腔内の粘膜に明らかな病変は認められないが常に(1日2時間以上、3か月以上の期間)舌の痛みを感じる疾患である。
この疾患は心因的な要因が原因とされていて、心理的要因と末梢および中枢神経障害性疼痛が複合する状態であるとされている。
舌を拝見すると、舌の中央にいつもより少しだけ赤みがかかっています。
そして、生活状況などを詳しく聞いていくと、
「最近仕事が忙しくて、お昼ご飯はほとんどインスタント食品で済ませている」
との事でした。「亜鉛不足?」
亜鉛欠乏
舌の表面には味を感じる粘膜があり、10日くらいで新しい細胞に生まれ変わります。この時に亜鉛が必要となりますが、不足すると細胞が新生されず、味覚異常や痛みを伴う症状を引き起こします。亜鉛不足は口内だけでなく、床ずれ(褥瘡)などの原因ともなりますので、特に高齢者は気を付ける必要があります。
亜鉛の多い食物(カキやナッツ類、緑茶、魚介類、海藻類、マメ類)をしっかりと摂取し、亜鉛の吸収を促すたんぱく質やビタミンCなどをしっかり摂ることが重要です。
高カルシウム食、低たんぱく食、高繊維食、高銅食、高鉄食などは亜鉛の吸収を妨げる食事ですのでご注意ください。インスタント食品、加工食品にも注意が必要です。
早速食事内容を見直し、お昼ご飯も手作り弁当にしたところ、1週間ほどで症状は改善されました。
「舌が痛い」の症状には、亜鉛不足以外にも、歯の症状に関連するものや感染症、アレルギー、精神的な影響、ビタミンや鉄分不足、薬剤の影響などなど様々な原因が考えられます。
お悩みの方は、まずは食事改善、そして病院受診をしてみてくださいね。
記事へのコメント