今日は、私の所属する日本鍼灸師会・全日本鍼灸学会の学術研修会がありました。
本日のテーマは「慢性疼痛」
第一部は愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田亨宏先生にお話をして頂きました。
痛みの発現の仕方や種類の話から最新の慢性疼痛の研究など話は多岐にわたりました。
いくつかご紹介したいと思います。
1、安静について 私達は怪我や病気にかかると回復を待つ間、「安静」を余儀なくされます。
この「安静」にはいくつかの危険があり、安静を始めて10日目位から神経系の変化や軟骨の壊死、関節滑膜の癒着・筋委縮・受容器の変性がおき、関節拘縮やしびれや知覚異常の他、痛みの悪循環など様々な後遺症が引き起こされます。
人のカラダはそもそもが動かす様に出来ており、過度の「安静」は悪影響であることが多いのです。
2、痛みは主観的な感覚
「腰が痛い」「歯が痛い」・・・誰でも感じる感覚ですが器質的に同じような状態が起こったとしても人それぞれに感じ方が違ってきます。
ある人は「耐えられないくらいつらい」ある人は「気になる程度」 それは痛みが主観的なものであり、その人に経験や感度により変わるものだからなのです。
例えば慢性的に腰痛の悩みを抱えている方は重いものを持ち上げる写真を見ただけで腰の違和感や不快感を感じるようです(条件反射)。
ウメボシを想像すると唾が出てくるようなものでしょうか・・・。
なので慢性の痛みを抱えている方は痛みの原因とは関係なく痛みを感じる頭の回路が出来てしまっている・・・。
特に痛みがあることによって利益が得られる環境にある人はこのパターンに陥りやすいようです(心理・社会要因)。周りに優しくされる・保険金がおりる(交通事故など)・仕事が休めるなど。
私達は毎日沢山の患者さんと出会い、カラダの不調や痛みの治療を行っています。
しかし、患者さんの訴える痛みだけに着目し、それを取り除くことだけに心血を注いでも良い結果がえられないこともあります。
「木をみて森を見ず」 治療家として、常に患者さんの症状だけでなく、社会的な背景を踏まえたアプローチが大切なのだと改めて感じた一日でした。
長くなりましたので第二部は明日へ・・・・。
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