私が所属する鍼灸師会や鍼灸学会では、様々な研修会や研究が行われ、鍼灸師の資質を向上させようと頑張っています。
最近の流れでは、どうしても研修の比重はエビデンス「科学的根拠」重視の研究結果や、治療技術の発表にあり、治療形態にも分類されない個人の鍼灸師が築いた治療方法や、鍼灸師の生き様といった部分を学ぶのは非常に困難となっています。
私自身、5年間の丁稚奉公(住み込み修行)を経て開業をしましたが、学んだのは、治療技術や医学的知識以前の、生命に対する考え方や治療とはなにかといった哲学的な物が大きかったように思います。
知識や技術は本やDVDで学べても、生き様、哲学的なものは、生で触れてこの目で見ないと掴めないと感じています。
そんな機会を会の若手鍼灸師に提供したいとの思いで、全3回シリーズのセミナーを企画し、少し前に第1回めが終わりました。
今回お邪魔したのは、玉城町で30年間開業されている「でぐち鍼灸院」。
ここからたくさんの若者が鍼灸師として巣立っています。
もともと診療放射線技師でもあった出口先生は、画像検査や臨床検査をベースに、独特な生理学、免疫学、解剖学への理解を持たれていました。
また、電気生理学の「良導絡」や東洋医学の基本でもある「脈診」にも深いこだわりがあり、様々なことを教えて頂きました。
技術や知識もさることながら、先生の鍼灸にかける想い、後進の私達に立派な鍼灸師として育ってほしいという愛情が感じられ、背筋が伸びる思いがありました。
真っ直ぐに自分の業である鍼灸をみつめる。
愚直に毎日練習をし、学び続ける。
世の中の動きはめまぐるしく変わり、華やかな職業や、景気の良い有名人が溢れています。
ふと惑わされそうになる瞬間もありますが、毎日、目の前の患者さんと向き合い、患者さんの幸せのために自分自身を高める。
そんな原点を思い出した数時間のセミナーでした。
次回も楽しみです。
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