今日は三重大学医学部にて、全日本鍼灸学会中部支部学術研修会がありました。
本日のテーマは
□膵癌患者への鍼灸
□痛みの仕組み
講義①膵癌患者への鍼灸
膵臓の悪性腫瘍による患者数は、年々増加を続け、2,009年の年間死亡数は27000人となっています。
一鍼灸院でも、末期膵臓癌の患者さんが来院され、最後のお別れまで関わらせて頂いたこともあり、今回の膵癌による腰背部痛にどう鍼灸師が関われるのかは深めたいテーマの一つでした。
今回の報告では、背部痛の原因として、癌による痛みが体表での関連痛として表れる痛みと、内蔵体性反射による筋性防衛で起こる筋硬結が原因の背部痛に対しての症例でした。その関連痛と筋硬結をどう納めるか?
っと難しく書きましたが、簡単に例えると…
大雨の日に屋根の隙間から壁や柱を伝って落ちて来た雨漏りをどう解決するか?
原因である屋根の雨漏り(膵臓癌)は大工さんに任せて、とりあえず家財や自分たちがぬれない様にシートを敷いたり、バケツを置いたりして快適に暮らせる様にしましょう!
すこし強引ですがこういうことかな?
膵臓癌自体を治療するのは中々難しい事ですが、痛みや不定愁訴(吐き気や食欲不振など)を和らげ、快適に毎日が暮らせる状態を作るのが我々鍼灸師の出来る事です。
私が関わらせて頂いたケースでも、癌自体は治りませんでしたが、薬が効かない痛みのコントロールや、不眠、不安、便秘などにお役に立てた様です。
ますます患者数の増えるこの分野の研究が、ますます進み事を願います。
講義②痛みの仕組み
この講義は、麻酔科の先生のお話とあって、かなり深く、マニアックな内容でした(喜)。
・痛みを伝える神経の種類と働き
・脳の刺激の受け取り方
・鎮痛剤の作用機序
・鍼灸の痛みに対する作用機序
・脳内伝達物質について
・シナプスの働き
・筋肉の反射、収縮の機序
などなど、難しい内容でしたが、コミカルな実演(笑)と、理路整然とした内容で分かりやすくお話頂きました。
特に、「鍼灸がなぜ鎮痛に働くのか」といったテーマは、日常、私も患者さんに話す内容で、更に深まった感があります。
簡単に説明すると…
例えば指をカッターで切るとします。痛いです、かなり…。
最初に「いた〜!!」と感じるのがAδ線維。この神経は1秒間に12〜30mというとんでもない早さで脳に痛みを伝えます。
次に感じるのはジワーとくる鈍痛。すごく不快です。この痛みを伝えるのがC線維。1秒間に1〜2mとゆっくりです。
これらの神経が伝える痛みをどう遮断するかが鎮痛の基本なのです。
神経は1本の線維で指先から脳まで繋がっているのではなく、シナプスといういくつかのつなぎ目を介して刺激を伝えています。
このシナプスの部分でいかに刺激の信号をシャットアウトできるかが鎮痛のコツです。
鍼をすると、脳が麻薬様物質を放出し、シナプスでの電気信号がシャットアウトされ、それ以上痛みの感覚が伝わらなくなるのです。
30年程前に中国で、針麻酔による手術が行われ、世界各国から大注目を集めましたが、このような機序で行われていたのです。
分かりづらい研修会の報告に最期までおつきあい頂きましてありがとうございました。
自分なりにスッキリとした所で寝るとします。
明日は晴れるといいですね。
おやすみなさいZzz
今日の講師の先生の著書です。ご参考に…。
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