顔面神経の麻痺による疾患です
症状と原因
顔面の筋肉.顔面神経は顔面筋の運動や、味覚、唾液や涙の分泌を司る神経です。
何らかの原因(多くは原因不明)により、顔面神経の働きが悪くなることにより、
- 額のシワが作れない。
- 口がすぼめない
- 目がつぶれない
- 唾や涙の分泌異常が起こる。
- 舌の味覚がおかしい。
- 音が大きくなる
等の異常が起きます。
顔面神経麻痺の多く(75%)は、水痘(水ぼうそう)・帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスが原因のラムゼイ・ハント症候群と、他の疾患が除外された原因不明の麻痺、ベル麻痺があります。
最近の研究では、ベル麻痺の多くに、単純ヘルペスウイルスの関与が指摘されています。
顔面神経節に潜伏したウイルスが、寒冷、妊娠、精神・肉体ストレスなどの誘引で活性化され、炎症を起こし、浮腫が起こった神経管の中で顔面神経が圧迫されて麻痺が発症すると考えられています。
診断と治療
血液検査によるウイルスの検出が基本的な診断となります。
顔面の麻痺症状と共に、耳周囲の疱疹がみられればハント症候群の可能性が高く、ステロイド投与の薬物療法が基本となります。
その他、ビタミン剤や血管拡張剤などの薬物療法。顔面神経の負荷を減らす手術治療。高圧酸素療法、鍼治療、リハビリテーションなどの物理療法などがあります。
顔面神経麻痺の鍼灸治療
鍼灸治療では、麻痺の初期は、顔面神経の興奮、浮腫を軽減させる事を目標に行います。
麻痺が治る過程で、過誤再生(間違った神経が繋がる)が起きる事があり、顔面の表情筋の働きを分離する目的で鍼通電療法を行います。
家庭での養生法、リハビリテーションも重要な治療の一部です。
顔面神経麻痺の70~90%は自然治癒する疾患ですが、早期発見、早期治療が大切です。
顔面神経麻痺の症例(58歳主婦)
1週間前に突然、顔面に違和感を覚え、鏡で顔をみたら顔が大きく歪んでいた。すぐに病院へ行き、点滴をうけたが、変化が見られないので来院した。
家庭の行事で忙しく、疲労と寒さが重なって発症したものと思われます。
来院時は、目が閉じられず、口元が下がっている典型的な表情をされていました。
3週間の治療で、目が閉じられるようになり、水を口に含んでも漏れなくなりました。
顔の歪みはほぼ改善しましたが、顔の筋肉の硬さなどの違和感の改善の治療を継続中です。
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