30歳女性の症例です。
28週の定期検診の時に逆子を指摘され、そのうち正常位にひっくり返るだろうと気にしないでいましたが31週を過ぎても変化がないので来院されました。
来院当時も現役の営業職で頑張ってお仕事をされていた方です。
お腹の張りや便秘があり、手足が冷たく頭部にはのぼせの兆候が見られました。
「逆子になるのはお母さんのお腹の中の居心地がしっくり来ないからです。まずは体を整えるところから始めましょう」
治療は標準的な逆子治療で使うお灸のツボ「三陰交」や「至陰」へのお灸や、のぼせを逃す針治療を行いました。
当院では、臨月の妊婦さんもうつ伏せになって治療が行えるベッドを用意していますので、仙骨や腰椎の可動性を高める治療も行いました。
また、日頃の食事内容の指導や服装、腹帯(さらし)の巻き方の指導など、出産にむけて知っておいて欲しい日常生活の注意事項の確認を毎回行いました。
1回2回と治療を続け、
「カラダがぽかぽかしてきた」
「赤ちゃんがよく動くようになった」
という反応はありましたが、赤ちゃんはなかなかひっくり返らず…。
37週で帝王切開の予約が入っていたので、鍼灸の治療は36週で終了となりました。
「大分カラダも整って来たのに残念…。」
と思っていましたがお正月に彼女からの年賀状が届きました。
”37週で無事に返ってくれたので、正常分娩で出産ができました”
こんなこともあるのです。
私の娘も上下にお腹の中をくるくると動く子で、最後は正常分娩でしたが37週時点で逆子になっていました。
当院には、沢山の妊婦さんが来院されています。
「逆子を治してください」
というお母さんに、
「赤ちゃんは、今の状態が心地よいから逆子なのです。逆子を治すことより、お母さんのカラダを整えましょう」
とお話をさせていただいています。
はりやお灸の治療はきっかけ作りのようなもの。
お母さんの中に、「お産に対する自覚」や「カラダを整える意識」がストーンと落ちた時、カラダが緩んで赤ちゃんも動くようになる気がします。
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