腰部・臀部の症状

股関節の痛み?実は~レッドフラッグ徴候を見逃すな!~

先日来院された65歳、バレー指導者、女性の症例です。

小学生のころから、モダンバレーを始め、その後、ダンサー、指導者として長らく活躍して来られました。

20年くらい前より鼠径部の痛みがあり、転倒や打撲の度に痛みは増していったそうです。

3年前には激しく転倒し、以降、杖が手放せない生活となっていたと言います。

一昨年8月には、臀部やハムストリングスに5寸釘を打ち込まれたような強い痛みと張りを感じ、2本の杖に頼らないと歩けない状態にまでなりました。

その後何とか回復しましたが、昨年5月には再び転倒し、股関節、臀部、大腿部の強い痛みで、再び歩行困難になっていたようです。

これまで、強い症状が出たり治まったりでしたが、整形外科などの病院には行かず、ずっと鍼灸治療を受けていたそうです。しかし、昨年秋には、鍼治療の後には数日痛みが増すような事が続き、どうしたらいいか悩み、その中で、当院へ来院されました。

まずは、整形外科的な検査や歩行検査などを行いました。

可動域制限や、運動時痛などがありましたが、通常の腰痛や変形などによる股関節疾患とは異なるものを感じ、鎮痛目的の治療は行いましたが、すぐにいつもお世話になっている整形外科を受診してもらいました。

レントゲン撮影をすると、股関節や腰椎は綺麗でしたが、横突起の読影ができなかったり、なにより骨盤内に白い影が…。

(写真の使用許可は頂いています)

すぐにMRI検査へ移り、結果は

骨盤内腫瘍、乳がん、腰椎腫瘍…。非常につらい結果でした。

骨盤骨折や腫瘍破裂の恐れがあるとの事で、即入院、車いす生活となり、放射線治療が開始されています。

今回の結果を受けて

私たち鍼灸師は、プライマリーヘルスケアの最前線にいます。

プライマリーヘルスケア

初期段階での健康状態の把握や一時的な救急処置、日常的にみられる病気や軽度の外傷の治療、訪問診療などを行い、特殊な症例については、専門医に紹介する役割を担う

痛みや不調の患者さんと毎日接し、自分の持てる技術、資格の範囲で許されている施術を行っています。

ごくまれに、今回の症例の様な緊急性のある疾患や、私たちの守備範囲外の疾患を抱えた方が来院されますが、これを鑑別する能力は必ず持っていなければなりません。

腰痛で来院された方が、骨折や大動脈瘤、癌、子宮や胃腸疾患、感染症などを患っている場合は珍しくありません。当院でも年に数件あります。

これらに気づかずに、治療を継続していると、痛みが治らないだけでなく、病気が進行し、取り返しのつかない事になるのは想像に難くありません。「レッドフラッグ兆候」と呼ばれるこれらの疾患を鑑別し、適切な医療機関に繋げる事は、上手に鍼が打てたり、手技が行える以上に大切な事だと感じています。

また、厄介な事に(?)、どんな疾患があっても、鍼灸治療をすると、ある程度、痛みや不快感が取れるのです。

今回の患者さんも、治療後は杖無しで歩けるようになり、片足で立てるようになっていました。

そこで納得して、適切な検査や治療を受けずに漫然と鍼灸や整体などの治療を受け続けるケースがありますが、原因を特定して、適応疾患の範囲で治療を行う事を我々鍼灸師は徹底したいです。

自身への戒めも込めて今回の報告を書かせていただきました。

  • どんな病気も治る
  • ゴッドハンド
  • 西洋医学は意味がない

こんな発言のある治療家は気をつけましょう

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