先日は、私の所属する鍼灸の学術団体の学会があり、参加をしてきました。
この大会では、様々な視点から「鍼灸」をみつめ、普段の臨床や、研修会では知り得ない鍼灸の一面を再発見できる貴重な機会です。
今回の大会テーマが「新たなるエビデンスとナラティブへの挑戦」と題されているように、エビデンス(科学的根拠)ナラティブ(物語としての人生)からの研究や発表がバランスよく構成された大会だったと思います。
大会中の2日間は、常に5~6つのプログラムが同時進行で進められており、どの演題を聞きに行くか非常に迷うところですが今回は、
- スポーツ鍼灸委員会シンポジウム~東京オリンピック・パラリンピックを通過点としたスポーツ鍼灸の再構築~
- 慢性治療に関する新たな展開・各領域におけるエビデンスの取り組み
- 鍼灸臨床実技セッション~高齢者鍼灸~
- 医療におけるエビデンスとナラティブの総合的活用
- 地域・自治体の健康政策にたいする鍼灸の役割とエビデンスの構築について
- 病める人のどこに惹かれるのか?
などを聴講できました。
中でも、今回印象的だったのは「地域・自治体の健康政策にたいする鍼灸の役割とエビデンスの構築について」と題して、鍼灸が地域・自治体の健康にどこまで寄与することができるのかを実践例や公衆衛生学に基づいた統計データーを通しての議論がありました。
長野県鍼灸師会では、数年前から「地域に鍼灸が関わることでどれだけ医療費が減らせるのか」といったテーマの取り組みを行い、地域、行政、医師会、薬剤師会の協力を取り付けながら進めているそうです。
私も週1日だけですが、美杉地域の過疎地医療に細々と関わりながら、医療資源の少ないこういった地域での鍼灸師の可能性を感じているところでしたので、非常に興味を持って聴講できました。
長野県ではやっと実施できる体制が整いつつある段階で、これから実践が始まるそうです。これが全国の各地域で奮闘している先生方のモデルケースになり、広がっていくことを願っています。
この学術大会に参加して改めて「鍼灸って良い仕事だな~」と感じました。
鍼とお灸があれば(何もなくても)、どんな場所でも、どんな患者さんにでもやれる事があります。
整形外科、内科、産婦人科、小児科、精神科、美容、スポーツなど、ほぼ全科に一人の鍼灸師で対応可能(やれることは限られていますが)。
一人一人にじっくりと時間をかけて治療を行う事ができ、医療費も安価です。
予防、治療、健康増進の各ステージに関わる事ができます。
これからも自分の専門性を高め、他職種と連携し、地域において無くてはならない存在としての地位を確立できるよう、知識と技術の研鑽に励みたいと思います。
自宅に帰ると、義母からの贈り物が届いていました。
長野県佐久総合病院発行の「農村医療の原点」
今年は、いろんな意味で自分の目指す鍼灸師像、医療像を見つめ直す年になりそうです。
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