昨日は「日本在宅医学会」の地域フォーラムが開催され、お話を聞きに行って参りました。
講演して頂いたのは、四日市で在宅医療を行う”いしが在宅ケアクリニック”院長 石賀丈士先生。笑顔の素敵なイケメンです。
2009年から緩和ケアを中心とした在宅医療を行い、四日市市の在宅医療の大変革を行いつつある先生です。
現代の日本では約8割の方が病院で亡くなります。自宅で最期を迎えたいと希望しても、医療体制の不備や私達の認識不足により、叶えられないのが現状です。
治る可能性のある病気や施せる処置があるのであれば入院や医療的な介入も必要でしょう。
しかし、末期の癌や老衰等に伴う症状に対する医療処置は本人や家族に苦痛が伴うことが多く見られます。
「延命処置は必要がありません」
このような意志の方がほとんどなのに、在宅でいることに不安が膨らんだり、症状が急変する事で病院を受診し、様々な医療処置の末に病院で亡くなる。
石賀先生たちは、こういった現状を変えようと在宅医療のチームを立ち上げ、地元の医師や看護ステーションの協力を取り付けながら、活動を続けられています。
年間300名程の在宅での看取り。
日本有数だそうです。
その成果もあり、四日市市は日本でも有数の在宅医療環境の整った市となりました。
治る病気は病院で、加齢に伴う症状は、老人ホームや一般在宅医へ、末期癌などの終末期は石賀先生たちの在宅医チームでと住み分けを行ったそうです。
患者さんの満足度も上がり、医療費も下がりました。
専門的な知識が必要で、手間のかかる終末期の在宅医療を石賀先生達が担うことで、一般診療をおこなっている開業医の先生も、安心して在宅医療に参入することができ、訪問看護ステーションの増加、訪問介護の充実とどんどん輪が広がっていく。
素晴らしい取り組みだと思います。
講演の中で、もう一つ注目をしたのが小中学生たちに対する「いのちの授業」。
小中学生の悩みトップ5を見ていくと
お小遣いや友人関係、自信のなさなどに加え、
小学生では:死ぬこと、死後の世界
中学生では:人を殺したい衝動
などが上がったそうです。そういえば、私も10代は「死」について考え、悩んだ時期がありました。
現代社会に住む私たちは、「死」と向き合う機会は非常に少ないと言えます。
核家族化が進み、8割が病院で亡くなる現代では、お葬式の時にチラッと清められた亡骸を見るくらいで、死の瞬間や、それまでの過程を体験することはまれです。
そして、子どもたちはリアルな死が感じれずに悩んだり、分からないから軽はずみに人や自分を傷つけるのではないでしょうか?
「おじいちゃん、おばあちゃんの最期の最大の役割は、自分の死ぬゆく姿を孫達に見せること」
石賀先生の言葉です。
普段は鍼灸院で患者さんを迎える私も、鍼灸師として、終末期に立会い、お家に訪問して患者さんの、そしてご家族のケアに関わる時があります。
それぞれの家族にそれぞれの事情・想いがあり、一度として同じ関わり方はありません。もっと学びを深めて想いに寄り添えるケアを行っていきたいと思います。
今回ご講演頂いた石賀先生は、著書も出されています。
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