この週末は、長野県塩尻市で開催された
「東京オリ・パラ2020スポーツ鍼灸トレーナー実地研修会」
に参加をしてきました。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに我々鍼灸師が医療班として参加することになり、それに向けた研修の一貫として開催されたものです。
荒天の中、全国から意欲のある鍼灸師が長野に集まりました。
一日目は学術研修会。
「埼玉ラグビーにおける鍼灸ケア活動」
埼玉県鍼灸師会でのトレーナー活動報告を小峰拓也先生に講演頂きました。
「マラソン競技における腰下肢のスポーツ障害への鍼灸治療」
呉竹学園の東洋医学臨床研究所の金子泰久先生が、自分自身の競技経験も交えて、マラソンというスポーツの競技特性や練習方法、ランナーに多い疾患の評価と実技などを講演頂きました。
「熱中症の原因と対策」
信州大学 能勢博先生に講演頂きました。
能勢先生は「インターバルウォーキング」の提唱者で、世界中から注目されている研究者です。
もともと体の熱代謝の研究をしていた所、アメリカで革新的なスポーツドリンクの開発に携わりました。
その研究成果を元に、熱中症予防に取り組み、大きな研究成果を残されました。
簡単にいうと、適度な運動をした後30分位内にタンパク質補給(牛乳コップ1杯)をする。これを5日間続けるといったものです。
これをすることで、血漿量が増加し、体温調整機能が改善するそうです。
そして、その応用として、スポーツ選手の持久力向上や高齢者の体力向上にこの理論を使い、素晴らしい成果を出されました。
現在は、熟年体育大学を運営し、この理論に沿った栄養、運動プログラムを全国に展開されています。
話を聞いていて感動したのは、論理的な研究方法、内容もそうですが、「科学は実用的でお金になる」という発想です。
能勢先生の目指すところは医療費削減。
現在、40兆円を超えた国民医療費ですが、2025年には60兆円近くになる試算があります。
約100兆円の我が国の国家予算で60兆円の医療費。
とても持ちません。
「国が潰れるか、国民を切り捨てるかどちらかを選ぶのであれば国は後者を選ぶ」
と先生はおっしゃっていました。
お金のある人は医療の恩恵に預かれますが、お金が払えないと見捨てられます。
こういった国にならないために医療費削減は急務ですが、なかなか上手くいかない現状です。
そこで能勢先生の研究の末生まれたインターバル速歩&タンパク質補給。
これを忠実に行うことで、体力が少し落ちてきたな~という方から、要介護の方まで、体力が20%上がることがわかったそうです。
そして医療費も20%削減できたとの事でした。
高血圧、高脂血症、糖尿病などは言うまでもなく、関節痛、精神疾患、様々な内臓疾患なども運動をすることで改善できる可能性が高い疾患です。
「運動するといいのはわかるけどなかなか続かないのよね〜」
とよく言われますが、このような方達にも、スマホのアプリを使ったプログラムが来年4月から始まる予定で、先行して行われている試験では良い結果がでているそうです。
私も勉強をして、来院されたみなさんにお伝えしていきたいと思います。
今回の研修のメインテーマは
「松本マラソンでの実地研修会」
しかし台風の影響で、懇親会の始まる時間には中止が決定されました。
2日目の予定が空白に…。
これは飲むしかありません!
様々な知識や経験を持った先生方とお酒を潤滑油にいろんなお話をさせていただきました。
突然、鍼灸の実技が始まったりも…。
大変勉強になりました。
次の日は早めに長野を出発したのですが、途中で電車が止まり、白子駅で降ろされる羽目に。
いろんな方のお世話になりながらなんとか帰宅できましたが、プチ被災。
これも良い経験でした。
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