研修会・学術資料

統合医療の有効性と弊害

10月最後の週末は最高の秋晴れの中、地元名張では、秋祭りが行われ、お神輿が街中を練り歩いていました。

昨年は、お餅つき等で参加させて頂きましたが、今年は少し後ろめたさを感じながらも研修会へ参加しました。

 

今回の研修会は、アリゾナ大学のアンドリュー・ワイル氏の元で統合医療を学んで来られた織田聡先生が講師でした。

西洋医学一辺倒の現代医学に疑問を感じ、様々な代替医療、伝統医療が見直され、市場規模も広がっている昨今ですが、西洋医学と伝統医療他、代替医療がどのように手を組み、連携して地域医療を支えるかが課題となっています。

 

※1、CAM=ハーブ・サプリメント・マッサージ・カイロプラクティック・ヨガ・太極拳・鍼灸・アーユルベーダ・エネルギー療法などの総称

現在の状況では、西洋医学に満足出来ない、患者さん自身がCAMを選択し、利用するという流れが殆どです。

病院と、CAMの施術者の間には連絡・連携が無く、一人の患者さんを巡って、様々な立場の人が、バラバラに関わっている状況です。

 

「患者さん主体」といってしまえば聞こえは良いのですが、中には、緊急で処置が必要な重篤な病気が見過ごされ、発見された時にはもう手遅れという事件も起きています。

また、根拠のない治療や健康法での苦情や事故も後を絶ちません。

 

織田先生の提唱される日本式統合医療の形では、西洋医学と伝統医療等、CAMの施術者が、一人の患者さんの情報を共有し、それぞれの得意分野を出し合い、より良い医療を提供する事にあります。

それにより、患者さん満足度の向上と、医療費の削減が実現されるのです。

実現には、政治的な問題や、社会保障のシステム、現場の人間の認識や資質等、多くの課題がありますが、来るその時に向けて、私達、伝統医療の担い手である鍼灸師は、もっと自分自身の専門領域の研鑚を積み、そして現代の日本社会での主たる医学である西洋医学の知識を深める事にあります。

 

講義の中で、面白い言葉がありましたので、ご紹介したいと思います。(講義レジメより)

 

☆教条主義的統合医療

・特定の補完代替医療(CAM)に教条的に傾注し、他のCAMや西洋医学を軽視、もしくは敵対視する。

・独自の価値観を持ち、理論を展開するが、難解で衒学的で自然科学的には空理空論である場合が多い

そして、全ての病がそのCAMで治療可能であるかのような一元的な信念があり、「我々の治療法こそ統合医療である」というように、CAMと統合医療の混同をしている。

☆折衷主義的統合医療

・CAMの限界を知っており、単一のCAMでは不十分であるため、様々なCAMを併用する。

・多くは西洋医学を否定することもなく様々なCAMに寛容であるが、寛容であるが故に批判吟味せず、根拠なく場当たり的にCAMを導入する。

・多くの選択肢を患者に提供し、西洋医学的に見放されたと感じている患者には魅力的であるが、あらゆる理論を回避しており自分自身に理論がない。

☆多元主義的統合医療

・個々のCAMを批判吟味し、利用すべきCAMを取捨選択する。しかし単なる組み合わせであり、CAMの選択においてコーディネートがない。エビデンス至高主義ともいえる。

・特定のCAMは純粋に用いられなければならないと考えており、この点は教条主義と一致する。

しかし、折衷主義のようにどのCAMもそれだけでは十分でないと考えて、結局いくつかのCAMを併用するが、それぞれを別個に捉えており、要素還元主義的なCAMの利用に終始する。

 

色々と考えさせられた研修会でした。

 

 

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