手の痺れと背屈、橈屈障害の一例です。
今回の症例は、なんと私。
夕食後、背もたれのある椅子で読書をしていてうたた寝をしてしまい、目覚めると左手の痺れを感じました。
「嫌な予感」は的中し、痺れだけでなく、動きがおかしい。夜も遅かったので、その日は就寝しました。
次の日、検査をしてみると
- 左手前腕外側上顆(肘の外側)から母指、示指の痺れ
- 背屈(手を後ろに反らす)、橈屈(手を親指の方に反らす)不可→MMT1(筋収縮はあるが、関節の動きはなし)
- 橈骨筋反射(ー)
- 握力左5kg右65kg
- 掌屈、尺屈問題なし
完全な橈骨神経障害です。日常生活での不具合としては
- コップやお皿が持てない
- パソコンのキーボードが打てない
- 服がたたみ難い
- 手の平を下にして物が取れない
などなど。お茶を飲もうとしてポットを持ち上げたら全く持ち上がらなくて落としそうになったのには驚きました。
原因も、治す方法もわかっていますが、自分では難しい。
こんな時は頼りになる仲野整体整骨本院に治療をお願いしようと電話をかけました。
プルルル~ 留守番電話に切り代わり
「本日は研修会参加の為休診とさせて頂いています」との事。
しかも海外研修会で帰国が1周間後。
泣きたくなりましたがなんとかしなくては…。
まずは、どこで神経絞扼を起こしているのかを調べる必要があります。
橈骨神経は、頚椎から鎖骨の下を通り、脇の下を通過した後、上腕の外側をぐるっと回って肘の外側から前腕の橈側(親指側)へ走ります。
この頚椎から前腕までのどこかで神経圧迫がおこり、神経障害が起きるのです。
よく絞扼の起きる場所としては、脇の下や上腕の外側、肘などがありますが、今回は寝落ちをしてが原因なので、首周辺が疑われます。
まずは、痺れがおきている支配神経の頚椎6番。
押すと違和感があります。
棘突起を右側に押すと心なしか手が動きやすくなる感覚がありました。
次は頸部周辺。圧痛点を探していくと、肩甲挙筋下部と斜角筋に硬結とジワーとくる圧痛が。
腋窩や上腕は特に気になる場所はなく、腕撓骨筋がパンパンに張っていました。
まずは、鍼で頚椎6番の傍神経刺を試みますが、押し手に力が入らずに断念。
鍼は使えないので、頚椎を動かす作戦に。
ゴルフボールを棘突起の横にテーピングで貼り付けて、首の角度を調整して、「トリャー!」床に首を押し付けました。(危ないので、良い子の皆さんは決して真似をしないでください)
何度か繰り返すと、少し肩周辺が暖かくなりました。
今度は肩甲挙筋、斜角筋。
超音波で緩めてから、グラストンテクニックでリリースしていきます。
この間約15分の格闘でした。
そして、先輩から励ましのメッセージと共に送られてきた「radial nerve flossing exercises」を試しました。
頚椎を緩めたあたりから、少し手は動くようになり、エクササイズ終了後には、わずかな角度でしたが背屈が可能となりました。
その後も、リリース&エクササイズを繰り返し、月曜日の診療時には、なんとか鍼が打てるまでに回復。
患者さんにも迷惑をかけずに済み、ホッとしています。
私自身は、カラダの不調を感じる事はあまりありませんが、今回の神経麻痺を通して様々な事を感じました。
不安、不快、そして助けてくれる人の有り難さ。
いつも、患者さんに「姿勢」「生活習慣」と口うるさく言っている私ですが、今回の体験を反省し、また、来院される患者さんたちへの対応に反映させて行きたいと思います。
神経麻痺は通常、回復に時間がかかるパターンが多いです。
もしなってしまったら、早期に医療機関を受診してください。
記事へのコメント