「姿勢」といっても色んな姿勢があります。
姿勢を改善したいと思うきっかけや目標も人それぞれ。
今回は、長年の持病である腰痛と、好きなゴルフを思いっきりできるように腰を伸ばしたいというMさんのお話です。
腰の痛みがきっかけ
ある日の昼下がり、年配の男性が来院されました。
腰はくの字に折れ曲がり、かなりつらそうです。
「腰はいつも痛いんやけど、ここ1週間でものすごく痛くなった。」
話を聞くと、ここ10年くらいで腰が徐々に曲がりだし、痛くない日は無いそうです。
夜仰向けになって寝ようとすると腰が伸びず、痛みをこらえながら1~2分くらいかけてようやく床に着くことが出来るそうです。
整形外科や接骨院にいっても、電気や牽引、マッサージに湿布…。
とても治る気がしなかったが、何とかだましだまし仕事(建設業)を続けていたそうです。
ところが1週間前から今までとは違う激痛が…。
腰を起こそうとしたり、中腰になると
「ガクンッ」
腰が抜けたようになり、腰からお尻にかけて、串で刺されたような痛みが走ります。
仕事どころではなくなりました。
寝ていれば治るかと、仕事を休んでゴロゴロしていても一向に良くなる気配はなし。
「これはアカン」
というわけで、来院されました。
姿勢分析
一鍼灸院では、まずは姿勢の分析と整形外科的検査から始めます。
姿勢は典型的なスウェイバック
スウェイバックとは…
- 股関節が前方に突き出している
- 臀部が後方に落ちている
- 胸郭が潰れたように落ち込んでいる
- 重心が全体的に後方に移動
- 重心の位置により、上腕が後方にぶらさがる
- 上半身のバランスを膝を曲げ立位保持
- 重心の後方移動を頭部を前方に突き出すことでカバー
スウェイバックの過緊張筋・低緊張筋
過緊張・短縮し易い筋(赤色で表示) | 低緊張・伸展し易い筋(青色で表示) |
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スウェイバックの改善・治療
姿勢は
- 腰が曲がっているから腰を伸ばす
- 猫背だから背中を伸ばす
では改善することはまずありません(私の経験では…)
カラダの構造というのは、キャンプのテントのように骨(柱)をつっかえ棒にしてロープ(筋肉)で引っ張って安定をさせています。
柱を安定させるためには、それぞれのロープが均等に引っ張り合う必要があります。
上記で示したような過緊張、低緊張の筋群があると、この引っ張り合いのバランスが崩れ、その結果、柱が傾き、姿勢が崩れる事になります。
基本的には、緊張している(縮んでいる)筋肉は伸ばす。
低緊張(縮みにくい)筋肉を緊張出来るように働かせる治療を行っています。
縮んでいる筋には、鍼や筋膜リリース、モビリゼーションなどの手技でアプローチをし、低緊張の筋はPNF(固有受容性神経筋促通法)やストレッチ、筋トレなどを行い補強をします。
正しい姿勢の感覚獲得の為に、キネシオテープで姿勢筋の筋補強をする事もあります。
姿勢の崩れは、筋力の低下と共に、日常生活動作や運動動作での間違ったカラダの使い方が根本にあります。
座り方、立ち方などから、実際に家事(料理、掃除、洗濯など)の動きの評価や仕事場でのカラダの使い方、寝具や靴などの身の回りの環境などを評価して、変えられる所は変える様にしています。
このように、姿勢改善はカラダだけでなく、本人の生活習慣や思考パターンまで変える必要があり、本人の協力が必要不可欠です。
3ヶ月後の結果
Mさんが通院を始めて3ヶ月が経ちました。
最初は仰向けで寝るのに1分近く悪戦苦闘していた腰も最初の数週間ですっと仰向けに寝ることが出来るようになりました。
グッと力をいれて踏ん張っていないとカクンッと折れ曲がる腰も自然に伸ばせるようになりました。
壁に背中をつけるとどうしてもつかなかった後頭部や膝裏もなんとか壁につくようになりました。
周りの友人にも
「若返ったな~」
と言われたそうでニンマリ。
先日から1ヶ月の予定でゴルフ三昧の海外旅行に元気に出かけられました。
3ヶ月という期間は、短いようで意外と長い。
まだまだ改善の余地はありますが、本人も相当努力をされたようです。
帰ってきてまた元の姿勢に戻っていなければ良いのですが…。
ビフォア・アフター
追記
先日来院されたSさんの姿勢改善事例も載せておきます
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