私の所属する公益社団法人日本鍼灸師会の全国大会がパシフィコ横浜で行われ、参加をしてきました。
2日間の日程の中で、約15程の講座があり、自分の興味がある講座を受けるという方式です。
YNSA(山元式新頭鍼)
私の今回の目当ては、以前より勉強をしていたYNSA(山元式新頭鍼)という治療法の講座でした。
YNSAは宮崎県の山元敏勝先生が確立した頭鍼療法で、頭にある、臓器や身体各部の反射点に鍼で刺激をすることにより、痛みのコントロールや病気の治療を行う方法です。
一般的な中国式の鍼灸や、経絡治療のように細かな決まりごとや、曖昧さがなく、診断方法から治療までが確立されていることで、海外の医師を中心に高い注目を集め、いくつかの匡では、YNSAしか鍼灸治療と認めないとされている国もあるようです。
講義では、反射点の説明から診断方法、実際の治療方法までを短い時間で詰め込んだ内容となっていました。
実際に、会場の聴講者の中から2名のデモストレーションが行われ、その場で症状がほぼ消えていました。
今回は山元先生は来られませんでしたが、動画の中では、脳血管障害で半身不随になった女性を見事その場で歩いて帰る位まで回復をさせる姿がありました。
「鍼灸のもつ可能性は無限大」
そんな事を感じさせる講座でした。
トリガーポイント鍼治療
トリガーポイント療法が、鍼灸界のみならず、医療者、一般の方にも知れ渡って久しいですが、講義を受ける度に新しい発見があります。
今回は、明治国際医療大学の伊藤和憲先生に講義をして頂きました。
トリガーポイントとは、筋肉の緊張や冷え・ストレスなどにより、筋膜に癒着や肥厚を起こし知覚過敏になった部位の事です。
トリガーポイントは関連痛を引き起こし、癒着や肥厚のある原因部位とは別のところに痛みや痺れをおこします。
下肢の外側の痛み痺れ→お尻の筋肉
頭痛・顔面痛→首の筋肉
などといったような具合です。
今回の講座では、トリガーポイントの概説、実技の他に伊藤先生が普段行っている臨床の中でのコツや、患者指導など幅広くお話頂きました。
著書も何冊も読み、何度も講演会を聞かせて頂きましたが、毎回進化している感じがあり、次が楽しみです。
活力の正体は自律神経
南先生は、世界で最も多くの心臓手術、移植をてがけている心臓外科医で、テレビやラジオでも活躍されているスーパードクターです。
今回は市民公開講座ということで、自律神経の働きや、鍛え方などを分かりやすくお話頂きました。
自律神経はカラダの緊張と休息を調整する神経です。
ほとんどの臓器や、身体各部に緊張を司る交感神経と休息を司る副交感神経が巡らされ、綱引きのような絶妙なバランスで健康を維持しています。
このバランスが崩れた時に人は体調を崩し「病気」になります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・過敏性腸症候群・アトピー・ぜんそく・リウマチ・うつ…。
数え上げるときりがありません。
糖尿病・心臓病・がん・脳血管障害なども自律神経の関与があります。
また、運動機能や、感覚機能などにも自律神経は深く関わり、これを鍛える事で病気にならないだけでなく、豊かな人生が送れるようになるのです。
南先生の提唱される自律神経のトレーニングは多岐に渡りますが、少し例を挙げてみると…
- 冷水浴
- 乾布摩擦
- 規則正しい生活
- バランスのとれた食事
- 感動をする
- 熱中できる趣味・仕事
- ラジオ体操
- パワーウォーキング
などが挙げられていました。
何も、特別な治療也、トレーニング、食生活をすることではなく、基本的な事をバランスよく実行することが大事といった内容にうなずかされました。
いかに私達の日常がカラダのリズムを無視した生活習慣になっている事か…。
自分自身の生活も再度見直し、実践したいと思います。
最後に、南先生の提唱されているパワーウォーキングの紹介です。
パワーウォーキング
パワーウォーキングとは、心臓に問題があるかたにも効率よく、負荷なく運動ができる方法が無いかと模索していた南先生が、元競歩の金メダリストと共に開発した運動方法です。
- 足先を進行方向に向ける
- かかとから着地する
- 足裏をローリングするように歩く
- 腕を直角に・カラダの横でスイング
- 姿勢を真直ぐに
- 肩の力を抜く
- 脈拍を定期的に計りながら歩く(計算式あり)
詳しく知りたい方は南先生の著書をご参照ください。
その他にも、経絡治療、中医学、災害時における鍼灸師の役割、東京オリンピックにむけて、美容鍼、不妊治療などなど盛りだくさんの内容が揃っています。
これだけの内容があっても、毎年の参加者はわずか1500人程度です。
日本の鍼灸師数の100分の1。
もっと沢山の方に参加して頂いて盛り上げていきたいと思います。
こういった学会のもう一つの楽しみは、先輩や、仲間との再会&出会い。
私にとっては、普段なかなか聞けない臨床や業界の話をする貴重な時間となっています。
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