先日、「足の裏が痛くて歩けない」という訴えで来院された60代の女性。
座っていたり、寝ていると痛みは無いが、立って歩き出すと強い痛みが足の第3指の付け根に出現し、整形外科を受診し、レントゲンを撮ったが異常が無いので鎮痛剤とシップを処方されたとの事でした。
しかし、痛みは徐々に強くなり、生活に支障を来たして困っているとの事でした。
足を見せて貰うと、外反母趾があり、足の横アーチの低下が見られました。
第2.3指の付け根の部分の圧痛があり、痛む場所とも大体一致するとの事。
この所見で考えられるのは、
「モートン病」です。
モートン病とは?
足のアーチの崩れや負担のかかりやすい靴、負担のかかりやすい歩き方などにより、足の指の間の神経(主に第3,4指間。2,3指間でもみられる)が圧迫、絞扼されて神経腫(神経が腫れて膨らむ)となる症状。
神経症状である痛みや痺れが起き、知覚障害を起こすこともある。
主には指の間、足底の指の付け根に症状が出現するが、時には、足首や下腿まで放散する痛みを引き起こす。
診断と治療
主には臨床所見で判断するが、ある程度まで大きくなった神経腫であれば、MRIや超音波などの画像検査で確認ができる。チネルサイン(神経が圧迫されている部分をトントンと叩くと神経症状が再現される)があればほぼ確定的。
一般的な治療は抗炎症剤やステロイド注射を局所に行い、大きな神経腫であれば手術を検討することもある。
足のアーチが崩れている患者が多く、インソールやサポーター、テーピングなどでアーチをサポートしながら、横アーチに関与する長趾屈筋、短趾屈筋、長腓骨筋や、縦アーチに関与する後脛骨筋、前脛骨筋 といった筋肉のトレーニングを行い、圧迫部位に負担のかかりにくい足の構造を目指す。
今回は、チネルサインは見られませんでしたが、他の臨床所見から、モートン病による足の痛みと判断をし、足のアーチサポートを中心としたアプローチを行いました。
治療直後は、痛みは残るものの、歩きやすく行けそうな感じがするとの感想を頂きました。
少し間があいて、再び来院されました。
「痛みは変わらないし、少し強くなっている気がする」
との事でした。
この間、病院を受診し、MRI撮影を行いましたが、神経腫は確認出来なかったとの事でした。
アプローチが間違っていたのかな?トレーニングや生活習慣が守られていなかったのかな?
病院では
「老人病」と言われ、また、鎮痛剤とシップを処方されたそうです。
もう一度足を良く観察してみると、第3趾付け根の内側にこりこりとしたしこりが触れました。
少し強く押してみると
「痛い!」
普段の痛みと同じ痛みでした。
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