腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)の摩擦によって起こる症状です。
症状と原因
腸脛靱帯は大腿の外側を支える靱帯です。腸骨(骨盤)から脛骨(すね)に繋がっているのでこういう呼び名がついています。
この靱帯は、膝を伸ばした時は前方に移動し、膝を曲げた時は後方に移動します。この曲げ伸ばしの時に、大腿骨とこすれて炎症がおこるのが腸脛靱帯炎です。
腸脛靱帯の緊張は、主に股関節の筋肉(大腿筋膜張筋・大殿筋・中殿筋)といった筋肉が作用していて、これらの筋肉の緊張により、腸脛靱帯の緊張が強くなり、屈曲の時の大腿骨への摩擦が強くなります。
また、大腿の筋肉の緊張も腸脛靱帯の緊張に繋がりますので、見極めが必要となります。
症状としては膝の外側のきしみを感じはじめ、徐々に痛みが現れます。大腿骨外側上顆(膝の外側の出っ張り)の圧痛があります。
診断と治療
大腿骨外側上顆の上方を圧迫しながら膝の曲げ伸ばしをして貰い、痛みが強くなるようであれば、本症例が疑われます。
軽い症状であれば休養により、炎症が治まりり、痛みも無くなります。
温熱療法や鍼灸治療、筋膜の治療を行うとより効果的です。
臀部の筋肉や腸脛靱帯のストレッチ、膝の可動域の改善に加え、負担をかけないランニングフォームや姿勢の改善が必要です。
腸脛靱帯炎の症例(25歳会社員)
マラソン大会を控え、毎日5Kmの練習を続けていた。膝の外側の張りが強くなり、徐々に痛みに変わっていった。日常生活では気にならないが走るとすぐに痛くなるため来院した。
大腿骨外側上顆の圧迫テストが陽性で、股関節の内転の可動域が落ちていました。大腿骨外側上顆の炎症部分の超音波治療と臀部の筋膜をリリースする治療を行いました。
テーピングを行いながら痛みの無い範囲で練習の負荷を上げていき、見事フルマラソンを完走されました!
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